MBAは経営管理学の世界共通言語ですから、当然世界に通用するものでなければなりません。学位は通貨と同じで世界的流通性がないといけませんから、MBAという学位の概念の整合性は勿論、その国の学校教育法にも認知されていなければなりません。

なぜ英国の学位は国際的に通用するか?いくつかの点がありますが、大事な点の一つが、論文(MBAコースはプロジェクト論文の傾向)があることです。ビジネススクールに論文?という方もあるようですが、これを学習しているかいないかで、そのマネジャーのビジネスプレゼンにおいても信憑性や整合性に大きな差が出ます。

概して、論文の書き方、スタイルというのが世界常識としてあります。工学系、医療系とビジネスである社会科学系は書き方に相違があります。引用の仕方(Harvard styleは常識)、図表の書き方、論文全体のスタイルなど。これらを認知しているかどうかは、その後の博士課程進学においても影響が出ます。当然日頃のビジネス活動のプレゼンにおける信憑性、信頼性などにも強く影響が出ます。それを認知している相手方であれば、一目瞭然です。そういう意味で書き物がしっかりしていないとマネジャーとしては失格とも言えます。口頭の素晴らしさだけでは通用はしません。

MBAはもはや経営管理に関わる人には必須の学位です(資格ではなく)。これなくしては上級のポジションを狙うことには大きな不利となります。転職はいうに及ばず、なければリストから漏れます。

では日本の大学なのか?あるいは海外か?当然海外です。外資系であれば当然であります。そもそも日本の教育制度や教育法にMBAというものは正式には存在していませんし、文科省にはその様な概念はありません。日本の大学の価値は海外では殆ど価値を見いだせないでしょう。

ではディスカッション中心の米国系か理論を重視する英国系か?ビジネススクールといえばディスカッションというイメージはありますが、重要な点は、しっかりとした教員がファシリテーションをしなければ単なるおしゃべりクラスで終わります。また、しっかりとした理論を身につけなれば論理性の発展はないです→マネジャーとしての汚点となります。論文の重要性が問われます。学習後に理論が残る学習コースを選ばれるとよいです。

論文と言ってもMBAというprofessional degreeの分野の論文はリサーチベースのソリューションでよろしいと思います。いわゆるプロジェクト論文。今ある人事的問題点をあぶり出し、それを調査しながら自分なりの最適解を求めてゆく程度でよろしいのではないでしょうか?アカデミック論文のように仮説検証し、多くのデーターを得て、解析する遠いところまではやらないと思われます。論文を書く過程の訓練は極めてビジネスマネジャーにとって重要なトレーニングとなります。これを経ていないで口頭ばかりの授業や課題を集合して論文とするところもあるようですが、足し算ではなく一つに科学変化させないと意味はありません。当スクールの科目のアサインメントも小論文のように合理的論理的な書き方のトレーニングとなります。

実戦的とは?実戦の場では、訓練なしには戦えません。訓練には理論と法則が必要です。これなくして実戦的とはなり得ません。戦闘機の操縦も料理も全て順序法則理論があります。

MBAにおける教員とは?これも殆どの方が勘違いしてる点ですが、教員は先生様ではありません。ファシリテーター、コンダクター、エンターテイナーであり、学生は参加者あるいは投資家です。投資家に教員がその価値を返すということですから、学生側からの追及や質問に対して教員は同じ目線で答えてゆかなければなりません。しかし殆どの日本の大学の教員はアカデミックスクールのようにMBAも同じように捉えて、先生様になっているケースが多いように思えます。上から目線で学生に対するのはMBAの教員のスタイルではありません。自分の専門をデリバリーできればMBAスクールの教員として足るとは限りません。欧米の有力なビジネススクールの教員(アジアの中国、香港、シンガポールの有力校も)は、MBAスクールで教えるスキルをトレーニングするスクールに参加してます。当スクールもメンバーになっているスロベニアにある教員訓練スクールでは、アジアを含む世界中から多数の教員が参加してますが、残念ながら日本の教員は皆無です。ということは日本の教員は自己流で教えているという事にもなります。世界基準のはずのMBAが日本流であれば本末転倒です。

キャリア形成においては時代の変化は大きく、限られた分野だけではなく裾野を広げるキャリア計画が必要でしょう。大学においても、単科学部コースが通用する時代ではなく学際的コースが注目されています。社会の変化を見れば当然であります。人事系だけの学習は裾野が狭くなり、それがこけてしまえば次に不利となります。例としてCFO(Chief Financial Officer)の最も多くの学位のプロファイルはファイナンス学科やファイナンス修士ではなくMBAです。MBAを学習すれば経営管理学の基本さらには経営学への道の理解が高まります。マネジメント層と議論を交わすには経営管理学的(ジェネラルマネジメント)視点で語らなければ価値はないと思います。例としてマーケティング戦略をマーケティング部がプレゼンしても肝心要の血液に当たるファイナンスが語られてないケースが多いと聞きますが、その点も含めていなければ合理的な実行可能な戦略提案にはなりません。つまり各部門は経営管理という包括的な視点で語らないとマネジメントには通用しないということです。つまりMBAを学習する必要性が高まります。

英語ができても何の英語ができるのかが重要です。より焦点が絞られた正にMBAで学習する科目についてその関連英語を学ぶことが最も無駄のない道です。英語ができないと論文は勿論、契約書も書けません。英会話ができるだけでは不十分です。

外資系企業などでは特に、極めて合理的な経営戦略やプランニングが求められます。その筋に従った英語を使えば共通言語となりますが、そうでないものは聞く耳を持たないせっかちなTOPも多くいます。理由は、さらに彼らのTOPがいるからです。

TOEFLは国語、TOEICは一般英語、ビジネスにはビジネス英語、さらには経営管理英語というようになるわけです。それを基本として会話するとよいでしょう。例として、街角で自転車と車がぶつかった。それを見ていた新聞記者、ビジネスマン、文学者、一般主婦、学者などは全員表現が違うはずです。そこがポイントです。かつ語学力があっても日本人と外国人とのコミュニケーションの最も大きいギャップは、話す順序が違う点です。日本人は枝葉から初め最後に森となる傾向があります。これではボスは苛立つことでしょう。

転職にも有用なSNSでLinkedInがありますが、ヘッドハンターが人材獲得に利用するツールでもあります。彼らは特にその人がMBA保持者かどうかに非常に注目しています。例として、当スクールに入学された段階(PGD=Post Graduate Diploma課程)でもLinkedInのプロフィールにMBA candidate(UK)と書いてもらっています。勿論MBA取得済みではないですが、当スクールもMBA Top-upプログラムはMBA取得までの一貫コースであるからです。この効果は大変高いです。在学中に転職された方も多くいます。因みに欧米ではPGDは充分に認知されています。

最後に外資はTOPの方針で経営が変わることがよくありますし、成績が良くても解雇があったりもしますので自己の将来も考えてキャリアを形成されるとよいです。日系企業では採用はまずは人事部、しかし概して外資では、まずはその分野の事業責任者が面談して、採用を決めて、あとは人事部へという流れだと思います。私の外資社長時代もそうでした。

最後に、数分のビデオですが、後半論文の重要性も説いていますのでご覧ください。

MBAと英語と論文