MBAについてネットで検索をする際、「意味ない」というミドルキーワードを添えて検索する方は多く、「MBAを取得することに意味があるのか否か?」について判断しかねている人が多いことが分かります。そこで、巷にあふれる「MBAは意味ない」とする論調は正しいのかについて、考察を加えてみます。

MBAはROI(投資利益率)が低い?

とあるウェブサイトの「MBAは意味ない」という記事には、「MBAはROI(投資利益率)が低いので取得することに意味はない」という結論が書かれていました。ROIはReturn on Investmentの略で、その数値が高ければ高いほど投資が成功していることを指す指標です。果たしてこれは正しいでしょうか?

MBAのROIとはつまり、MBA取得にかかる学費などの自己投資額に対し、取得後に得られるリターン(いわば報酬の上昇額)が見合ったものであるか?ということになります。

その記事では「MBA取得には投資に見合ったリターンがない」と判断し、それを一番の理由として「MBAは意味ない」としているのですが、そもそも投資額の前提条件に大きな見誤りがあります。

その記事ではMBA取得にかかる費用について「学費として500~1500万円(+滞在費として200~300万円)」と規定していましたが、それは欧米のトップビジネススクールに留学してMBAを取得する場合の費用であり、当校のプログラムであれば198万円の学費で英国国立大学のMBA学位を取得することができます。投資額はどれほど高く見積もってもその記事が示す額の半額以下、Maxでは約1/8で済むことになります。当然、これだけ前提条件である投資額が変わればROIの数値は全く異なったものになります。

そもそもMBAを取得したからと言って自然に報酬が上がるということはありません。見合ったリターンが得られるかどうかはひとえに個々のMBAホルダーがビジネスで成果を挙げられるか否かにかかっています。その意味では、MBAほど取得後の結果がシビアに問われる学位はほかにないと言えるでしょう。

もはやMBAは「持っていて当たり前」の学位

またその記事にも言及があり「意味ない」理由の1つとされていたのが、「MBA取得者数の増大」です。MBAホルダーが増え続けていて希少価値が失われてきているため、MBAを取得するメリットは少ないという考え方のようです。

確かに世界的にMBAの取得者が年々増え続けていることは事実ですが、これはMBA学位の必要性が世界中で高まっているということの証明でもあります。日本でも旧来の通学式だけでなく、当校のようなオンラインMBAプログラムも増えてきており、学位取得の門戸はどんどん広がってきており、MBA取得者は年々増えてきています。

これについてはMBAはもはや少数エリートのための学位ではなく、「管理職層であれば持っていて当たり前」の学位になりつつあることをご認識いただく必要があります。

このウェブサイトのトップページでも謳っていますが、我々はもはやMBA学位は管理職層であれば持っていて当たり前の「運転免許証」のようなものだと考えています。そういった学位を取得するために、もはやキャリアを中断して高額な学費を費やして海外留学をする必要はないのです。

世界的には上級管理職に進むためにMBAの更に上の学位であるDBA:Doctor of Business Administrationを取得する流れができつつあります。世界ではMBA取得の意味のあるなしを論じるレベルは遠い昔に超克し、さらに先に進んでいると考えた方が良いでしょう。

人脈や海外経験は海外転職すれば得られる?

またとある記事では、ビジネススクールで得られる人脈や海外経験(その記事では海外留学してMBAを取得することを前提として考察しているため)は、「海外転職することで同様のものが得られるのでMBA取得に意味はない」と結論付けていましたが、これも浅い考察と言わざるを得ません。

そもそも海外企業への転職自体が決して低いハードルではないということも理解しておく必要があるでしょう。これは一概には言えない部分もありますが、基本的に海外企業に転職するためには、その企業の所在する国の候補者よりも自分を採用することにメリットがあるということを証明しなければならず、これは容易なことではありません。

また、先に述べたようにMBA取得自体が特別なことではなくなってきている(門戸が広がってきている)現状を考えれば、海外企業への転職のハードルは、場合によってはMBA取得よりも高いということも大いにあり得ます。

以下はアメリカにおける上場企業の部長職以上の役職者の取得学位に関する統計です。

アメリカの上場企業の管理職等の最終学歴

学位人事部長営業部長経理部長
大学院修了61.6%45.6%43.9%
 うちPhD取得14.1%5.4%0.0%
 うちMBA取得38.4%38.0%40.9%
四年制大学卒35.4%43.5%56.1%
四年制大学卒未満3.0%9.8%0.0%
出典:米国分:日本労働研究機構が実施した「大卒ホワイトカラーの雇用管理に関する国際調査(平成9年)」 (主査:小池和夫法政大学教授)

少々古い統計にはなりますが、アメリカの上場企業の管理職者は約半数が修士以上の学位を取得していて、かつ約40%の割合でMBAを取得しているという事実があります。アメリカではMBAが「管理職層の運転免許証」と言っても大げさではないような状況にあることがお分かりいただけるかと思います。

管理職層にMBA取得者が多いということは、アメリカの企業がMBA学位の価値を重視していることの証左でもあり、当然アメリカ企業への転職にあたってはMBA学位を所持していることが有利に働くということも言えるでしょう。

MBA取得のために学ぶことで得られる広範な知識は「ビジネスの共通言語」とも言い換えることができます。MBAを取得している人にとって、同僚なりビジネスパートナーがMBAを持っているか否かは、ビジネスの共通言語を共有できる人か否かの重要な判断材料になります。

当然、共通言語を有する関係性はより成熟したものになる可能性が高まりますので、「人脈の形成」を考えた場合でもやはりMBA取得には大きな意味があると言うことができます。

日本は先進国のなかで最も社会人が勉強しない国

以下は主要先進国における、人口100万人当たりの修士号・博士号の取得者数を示したグラフです。

※参照:文部科学省「諸外国の教育統計」平成31(2019)年版

日本の修士号・博士号取得者数は実にイギリスの1/6以下、韓国の1/3以下という驚くべき事実があります。

また総務省の調査「平成28年度社会生活基本調査」によると、日本の有業者が学習・自己啓発・訓練に費やす時間は1日平均6分であることが分かっており、いかに日本の社会人が自主的に勉強しないかを物語っています。日本は残念ながら「世界の先進国のなかで最も社会人が勉強しない国」という不名誉な称号を持っています。

日本の社会人が勉強しない理由としては、「終身雇用制」などの長期雇用を前提として、企業が従業員のキャリア形成を担っていくものとしていた日本特有の労働環境の問題もあるものの、自主的かつ主体的に学ぶという意識が日本の社会人に希薄なことは間違いなく、この学びに対する意識の世界との格差は、ビジネスのみならず、ひいては国力の格差にも直結しうる大きな問題をはらんでいると我々は危惧しています。

「MBAを取得することの意味」については議論の余地なし

欧米をはじめとした海外では、一度社会に出た後に高等教育機関などに戻り、さらなるステップアップのために学ぶ「リカレント教育(回帰教育とも言います)」の考え方が浸透しています。

急速に進むグローバル化の中で、日本の労働環境の特徴であった長期雇用はすでに転換期を迎えており、今後さらに欧米企業と雇用の面での均質化も進んでいくことも見込まれています。

こうした労働環境の変化のなかで、日本の社会人にも自主的な学びが求められる時代になりつつあることは疑いようのない事実です。
MBAを取得する意味のある・なしを時間をかけて調べる時間があるならば、まずはビジネスのフレームワークを1つでも2つでも学び、実際のビジネスの場にどう生かせるかを考えることが肝要ではないでしょうか。

MBAはれっきとした学位(修士)です。学位とは、特定の学業を達成したことを証明するためにこれ以上のものはない、国際的に通用する栄誉称号です。MBAと比較されることの多い公認会計士や中小企業診断士などは、特定の国や地域でのみ通用する「資格」であり、学位とは全く性質が異なるものです。このことも考え合わせると、「MBAを取得する意味のある・なし」については議論の余地などなく、おのずと答えが出ていると我々は考えています。

このページにたどり着くような方(しかも最後までしっかり読むような方)は、少なからず自分にはMBAが必要ではないかと考えている方だと思いますが、必然的に答えはこうなります。
あなたにとってMBAを取得する意味は大いにあります。